ぶどう他目的栽培

 ぶどうの苗木を植えた。デッキの屋根架け工事が終わるころ、ふと思いついてネット注文したもので、芽が冬眠状態にあるうちに植えなくてはならない。草刈りカバー代わりのプラスチックの筒をセットして5本植え付けた。

 いわゆる衝動買いだったので細かいいきさつは忘れたけど、購入したのは巨峰の改良種ピオーネと青い粒のポートランド種で、どちらも500円ほどと案外低価格だったので、ついついポチッてしまったのだ。

 それまでぶどうの栽培は、地中海地方のような温暖な気候がむいている、となんとなく考えていたが、苗木ショップの宣伝文句によれば、寒冷な痩せ地でもよく育つらしい。そう言えば、と北海道の十勝ワインを取材したことを思いだし、ならば日光でも十分育つだろうと思ったわけだ。 


 鉢植え以外であれば肥料もさほど必要がなく、十分な日照とやや乾燥した地質のほうが甘みがのりやすいとも書いてある。谷間にあるわが家はすこし湿気が多いから、実りのためには水はけのよい場所がいいわけだが、植え付け場所はもう決めてある。


 とくに東側に植え付けた苗は、葉がよく茂るよう肥料調整して、おおいに日除けに役だってほしいと考えている。真夏のころ、真東からあがる朝日にじりじり照らされると、室温がたちまち急上昇してしまう。
 こんなふうにぶどうの葉陰になれば、いくらかでも涼しくなるのでは、と目論んでいるわけで、ふつうの樹木より成長が早そうだし、枝ぶりも自由になるという利点も考えた。

 言ってみれば収穫以外の他目的栽培だが、南側デッキの柱下に植えた苗木がたわわにぶどうの房を実らせる、なんて光景をもちろん否定はしない。