切り株椅子

0b5e2b4dd7945700eb92ed7b4b109c2d先日つくった切り株椅子は、もともと抜根できなかったための産物だ、電気や水道(ポンプアップした井戸水)の配管があるため、根を掘り起こすとなるとちょっとばかり面倒。それで椅子、ということにしたわけで、買い物帰りや草刈り途中でひと休みするとなかなかに快適だ。

あまりに快適すぎて立ち上がれない、というのはウソ……。

 

 

P1240795原因は、これ。杉のヤニだ。杉脂(さんし)と読むらしく、生薬として利用される。薬用アルコールに溶かして、ひび、あかぎれに塗り、また肩こりや筋肉痛にも効果があるようだが、煎じて飲用すると淋病に効くとある。試す機会は訪れるだろうか。

 

 

ちなみに杉は日本固有種。だとすると生薬として利用するのはわが国だけで、いわゆる漢方薬としては調合されないのかもしれない。いずれ調べてみるつもりだ。

弓道のギリ粉としても使用する。寡聞にして初めて聞いたが、弦をひくさい馬手(右手)にはめた皮手袋(ゆがけ)につける滑り止めの粉。引くときギリギリ音がするところからの命名のようで、的中粉と呼んだりする。

固まったヤニを熱して溶かし、火にかけ五分の一ほどになるまで煮詰め、冷やして固めたものを粉に砕いてつくるようで、松ヤニより上質な白いギリ粉になると書いてあった。

とにかく脂だから、座るたびにベタベタとひっついてしまう。よく見ると皮と辺材の境目から滲み出ているようで、ならば、とばかりに皮むきにとりかかった。

杉に限らず、樹木の皮は伐採直後のほうが、水分を含んでいて剥きやすい。根から水分を吸い上げる季節、つまり夏伐りの杉なら気持がいいほどに剥ぎ取とれ、屋根葺き材につかったりした。ただし材木としては乾燥に手間がかかるため、流通している材木は、水を吸い上げない冬伐り材がほとんどだ。

ログハウス建築は、何はともあれログの皮剥ぎ(ピーリング)作業からはじめる。回転ノズル付きの高圧洗浄機を使えば、皮の固い冬伐り材でもきれいに剥けるが、セルフビルドとなると手道具が普通だろうか。

両手持ちのドローナイフを引き剥ぐように使うのだが、腕力のない私は、突きノミを好んで使う。腕の力だけで引くより、体重をかけて押せるほうがずっと疲れが少ないからで、最近、手に入れた氷彫刻用の平ノミがかなり使える。

P1240880仕上がった切り株椅子の横で、さっそくの作業……。デッキの屋根架け工事にとりかかったのだが、丸太の皮を剥ぎ、ホゾを刻むといった進捗状況は随時お知らせする。