イワダレソウ(岩垂草)を増やす

 空き家になったヤギ小屋のドアー前は、南向きで暖かいせいかイワダレソウが伸びて来やすい。以前はこんなにランナーを伸ばすことはなかったのは、ヤギや人が出入りするためだったか、あるいはヤギに食べられたりしていたのだろうか。

 なにしろ放牧場への出入り付近でヤギ糞などがたまりやすく、そのため葉が徒長気味だったように記憶しているが、それは肥料過多の症状だった可能性もある。ヤギが居なくなり、雨などで押し流されて肥料分が適度になったということだろうか。葉よりランナーがよく伸びるようになった。

 なかなかの伸長ぶりで、ヤギが居なくなって半年ほど放置したときは、ランナーがドアー内にまで侵入して、ちょっと怖いくらい。ときおり刈り取って始末するようにしている。

 このイワダレソウは、かれこれ15、6年前、宇都宮大学に倉持仁志氏をお訪ねしたさい、図々しくも数株の苗を頂いたのが始まりだ。

 沖縄の与那国島の海岸で採取したイワダレソウに着目した倉持氏は、同じクマツヅラ科のヒメイワダレソウ(別名リッピア)と交配するなど10年にあまる研究を重ねて、南国産のイワダレソウに耐寒性をもたせるのに成功。のち品種特許にさいして倉持氏とリッピアをあわせて「クラピア」と命名されたらしい。

 そのとき倉持氏に頂いた苗は「イワダレソウ」のはずだったが、
「寒い日光でも育つかも知れません」
 ともおっしゃっていたので、交配に使用した「ヒメイワダレソウ」か、それとも「クラピア」になる改良途中の品種だったかもしれない。
 以来15年、-10℃になる放牧場でもみごとに生き抜いて、ごらんのような繁茂ぶりだが、残念ながら倉持氏は、先年死没されてお見せできない。

 そうした「イワダレソウ」だけに刈り取って無下に捨てるわけにはいかない。それにもまして「クラピア」は、近年耐寒性のあるグランドカバープランツとして大いに注目され、3号ポット苗が500円ほどで販売されている。
 わが家の「イワダレソウ」も耐寒性なら負けないわけで、刈り取った芽を増やして敷地のあちこちに定植している。

 増殖方法はきわめて簡単。伸びたランナーを5㎝ほどに切り、ポットに入れた畑の土に、3本ほど挿しておけばいい。季節に関係なく育ってくれ、梅雨時に挿した芽はすっかり根付いており、どこに補植するかを検討している。

 さらに水稲育苗箱で育てるのをテストしてみた。伸びたランナーを長いまま土を入れた育苗箱にならべ、ところどころに土を載せて固定する。これだけで根付いてくれるはずだが、土の量が少ないので水やりが欠かせない。そこで猛暑がすぎたころをねらって植え付けすることにした。

 うまく根付けば大きなマット苗ができるので、崩れた斜面整備に役立てようと計画している。芝生より深く根を張るので土留めの効果を期待してのことだが、少し調べたところ「ヒメイワダレソウ」に放射線セシュウムの吸着効果があり、しかも定評のあるヒマワリの30倍と知り、ちょっとビックリしている。

 ちなみに「クラピア」は登録品種として保護されている。増やした苗を無断で販売したり、譲ったりすると法律に違反するが、わが家の「イワダレソウ」が該当するかは不明だ。


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